fwee(フィー)「スパグロウ UVトーンアップベース」はなぜ売れたのか

コスメ

画像出典:株式会社BENOW JAPAN プレスリリース(PR TIMES)

1. フック:売れた事実

韓国コスメブランド「fwee(フィー)」の化粧下地「スパグロウ UVトーンアップベース」は、Qoo10のライブ配信(ライブスタジオ)で話題になり、@cosmeベストコスメアワード2026で「@cosme STORE 上半期新作ベストヒット賞」総合第2位を獲得した。楽天市場のfwee公式ショップ、Qoo10公式ショップをはじめ、2026年7月時点でも継続して販売されている。運営元の株式会社BENOW JAPANは、東京・大阪・名古屋・福岡・神戸に続き京都にも直営店をオープンするなど、日本国内でのオフライン展開も積極的に進めている。

2. 背景と狙い

fweeは韓国BENOW社が展開するメイクアップブランドで、2023年に新大久保の直営店「フィーアジト」を皮切りに日本市場へ本格参入した。スパグロウ UVトーンアップベースは、水分感・トーンアップ・持続力・毛穴カバー・UVケアという複数の機能を下地1本に集約することで、「これ1本で理想の肌が叶う」という分かりやすい価値提案をしている。

01グロウ(SPF30 PA++、アイボリーカラー)と02リッチグロウ(SPF50+ PA++++、ピンクベージュカラー)という肌質・好みに応じた2バリエーションを用意することで、単一処方ではカバーしきれない幅広い好みに対応する設計になっている。

発売にあたっては、TWICEのナヨンを新ブランドモデルに起用し、「大本命下地」というキャッチコピーとともに大々的に展開している。韓国発ブランドが韓国発アイドルグループのメンバーを起用することで、ブランドの世界観と製品の説得力を一貫させる狙いがあったと考えられる。

3. トレードマーケティング視点の分解

流通

メーカー視点:楽天市場・Qoo10の公式ショップというECチャネルに加え、東京・大阪・名古屋・福岡・神戸・京都と直営店を全国に拡大する、EC・実店舗の両輪展開をしている。

小売視点:直営店展開は、小売にとってオンラインで話題になったブランドを実際に試せる場を提供でき、SNSでの認知を実購入につなげる導線になっていたと考えられる。

価格

メーカー視点:35mlで税込2,310円という価格は、韓国コスメとしては中価格帯に位置づけられる。

小売視点:複数機能を1本に集約した価格設定は、小売にとって「日焼け止め・化粧下地・トーンアップを個別に買うより割安」という訴求ができ、比較購買の中で選ばれやすい商材だったと考えられる(実際の粗利率は非公開のため、一般的な多機能コスメの価格設計からの仮説にとどまる)。

棚割り

メーカー視点:01グロウ・02リッチグロウという2色展開は、肌質・好みに応じた選択肢を用意することで、購買決定のハードルを下げていると考えられる。

小売視点:直営店では、韓国コスメというジャンル全体の勢いに乗せてブランドの世界観を売場全体で表現できる展開ができていたと考えられる。

季節性

メーカー視点:UVケア機能を持つ商品であるため、紫外線量が増える春〜夏にかけての需要期に合わせた訴求がしやすい設計になっていると考えられる。

小売視点:季節性のあるUVケア商材は、小売にとって春の新生活シーズンから夏にかけて売場展開を強化しやすいタイミングを作れる商品だったと考えられる。

プロモーション

認知:TWICEナヨンのブランドモデル起用と、Qoo10のライブ配信(ライブスタジオ)での紹介を通じて、リアルタイムでの実演・視聴者との対話による認知拡大を図っている。

トライアル:ライブ配信中の限定価格・特典は、視聴しながらその場で購入するというトライアルを後押ししていると考えられる。

リテンション:@cosmeベストコスメアワードでの受賞は、購入後の満足度を裏付ける「お墨付き」として、リピート購入・友人への推奨を後押ししていると考えられる。

図:ブランドモデル起用からアワード受賞までの流れ(認知・トライアル・リテンションの3段階)(当サイト作成)
認知 トライアル リテンション ナヨン起用・ライブ 配信で商品を認知 配信の限定特典で その場で購入 アワード受賞を見て リピート・推奨

カニバリゼーション

fweeは同ブランド内で複数の化粧下地・ベースメイク商品を展開しており、スパグロウ UVトーンアップベースは既存の下地ラインの一部需要を奪っている(純増ではなくシフトさせている)可能性がある。ただし、@cosmeアワードでの受賞やライブコマースでの新規バズは、fweeブランド自体を初めて知る新規顧客も一定数取り込んでいると考えられ、純粋なシフトというよりブランド全体の需要拡大に寄与している可能性も高い。これを裏付ける公開データはなく、あくまで推測の域を出ない。

小売にとっての狙い:客数×客単価×購入頻度

ライブコマースでのバズと直営店展開という組み合わせは、客数(韓国コスメに関心を持つ新規層の獲得)を主に押し上げると考えられる。複数機能を1本に集約した価格設定は客単価にも一定程度寄与すると見られる。01グロウ・02リッチグロウという色展開は、両方試したいという購入頻度を副次的に押し上げる要素になっている。

図:売上ドライバー(客数×客単価×購入頻度)のうち、スパグロウが主に効くと考えられる要素(当サイト作成)
客数 主要ドライバー (韓国コスメ・ライブコマースに関心を持つ新規層の獲得) 客単価 一定程度寄与 (複数機能を1本に集約した価格設定) 購入頻度 副次的ドライバー (2色を両方試したい・買い替えたい欲求)

4. ショッパーマーケティング視点の分解

パッケージ

「スパ」を想起させるみずみずしいビジュアルと、01グロウ・02リッチグロウという直感的な色名で、店頭・EC双方で選びやすいデザインになっていると考えられる。

購買トリガー

「下地1本で理想の肌が叶う」という分かりやすい多機能訴求と、ライブ配信で見た実演・使用感が、購買トリガーとして機能していると考えられる。@cosmeアワード受賞という第三者評価も、購入の後押しになっている。

体験設計

ライブ配信という「今、この瞬間に見ている人だけの体験」が、視聴者の購買意欲を高める設計になっている。実際に使用した際の「リアルスパ成分による水分チャージ〜ブライトニング」という体感が、SNSでのレビュー投稿を誘発する体験設計になっていると考えられる。

ターゲットとなった性年代層

実購入者データ(性年代別)は非公開のため断定はできないが、韓国コスメ・ライブコマースというチャネル特性、TWICEナヨンの起用から、コア層(火付け役)はSNS・ライブ配信・K-POPに親和性の高い10代後半〜20代の女性だったと考えられる。@cosmeアワードでの受賞を経て、拡大層としてはより幅広い年代の美容関心層にも波及したとみられる。

カテゴリ視点の指標分解

fweeブランドとしての認知拡大フェーズにあるため、「カテゴリ購入率」(fweeというブランドをそもそも購入したことがあるか)を押し上げる効果が主だと考えられる。01グロウ・02リッチグロウという2色展開は購入者あたり購入数量(複数色の使い分け・買い替え)の押し上げにも寄与していると考えられる。

図:カテゴリ指標の分解ツリー。赤色=本商品で特に押し上げ効果があると考えられる指標(当サイト作成)
× × × カテゴリ(化粧下地)の売上 カテゴリ購入率 購入者あたり購入金額 購入者あたり購入数量 平均単価 購入頻度 1購入あたり購入数量
色付きヘッダー=指標名/ドット3つ=押し上げ効果の強さの目安(赤=強い、青緑=相対的に弱い)

5. 実際の結果

@cosmeベストコスメアワード2026での「@cosme STORE 上半期新作ベストヒット賞」総合第2位獲得、直営店の継続的な拡大(東京・大阪・名古屋・福岡・神戸・京都・埼玉)から、狙い通り認知・販売の両面で成功していると見られる。個社の売上金額・販売数は公表されておらず、規模感はアワード受賞・直営店拡大という事実からの推測にとどまる。

6. 購買導線

fwee公式楽天ショップ・Qoo10公式ショップでの通販購入に加え、全国の直営店でも購入できる。

7. 類似のインサイトから生まれた他商品

「ライブコマースでのバズと実店舗展開を組み合わせる」という発想は、他の韓国コスメブランドの日本進出でも見られる。オンラインでの即時性の強いバズを、実店舗という体験の場につなげることで、一過性の話題を継続的な販売に定着させるという共通のパターンがある。

8. 法則の一般化

「オンラインでのバズは実店舗という体験の場と組み合わせることで、一過性の話題から継続的なブランドの定着に変わる」——fweeスパグロウ UVトーンアップベースの成功は、単にライブ配信で話題になっただけでなく、直営店拡大によってその話題を実際の購買体験につなげ続けた点にある。


出典:株式会社BENOW JAPAN プレスリリース(PR TIMES)、@cosme

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